「江戸城 ―本丸御殿と幕府政治」(深井雅海)
江戸城本丸御殿の構造が日々の政務や儀式でどのようにつかわれていたかというのを中心に、どのようなスタッフがどこでどんな役割をもっていたのかというのが概観できる。
広大な御殿のほとんどが政庁や儀式用で、将軍が日常つかっている部分はあんがい狭いのが印象的。そういえば、内裏における帝の生活もそんなかんじだし、表(政庁)、奥(執務・生活)、大奥(後宮)という構造も共通している。
あと、側用人や御側御用取次として権勢をふるった柳沢吉保や間部詮房、田沼意次たちの共通点として、養子としてはいった将軍の大名時代の家臣の系譜で、その同僚が勘定方役人として実務をささえていたということがあり、それによって老中を中心とする「表」の指揮系統から独立して実権を握ることができたという指摘が興味ぶかい。逆にみれば、孤立した権力などありえないわけで、癒着を絶つとかいって接触を禁じて純化していくと情報収集や立案、執行に支障をきたすっていうことなのかも。
それにしても詳細な人事記録がのこっているというのはやっぱりすばらしい。
- 作者: 深井雅海
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/04/01
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