『「国語」の近代史』(安田敏朗)

全体的にいわゆる左翼っぽい言説で、非難するつもりはないといいつつもかなり小うるさいので、現在の価値観をもって過去を断罪するのはフェアでないという批判もありうるかもしれない。が、どんなスタンスに立つにせよ、これだけの質量をもって総括することはじゅうぶん有意義だとおもう。

国語学」と「日本語学」についてはいぜんすこしかんがえたこともあったけど、とくに戦中の「日本語学」の歴史をめぐっていろいろ把握しなおす必要がありそう。

あと、本論の趣旨とは直接関係しないが、「やめれ」*1や「きれいくない」が台湾で内地に先行して採集されていたことや、「満州」において中国語をカナ表記する「満語カナ」というこころみがあったという指摘が興味ぶかい。

*1:「やめる」の命令形として。