「電車の運転」(宇田賢吉)

元運転士による列車運行と鉄道技術の解説本なんだけど、これがものすごくおもしろい。とくに駅出発からつぎの駅の到着までを手順を追って記述したぶぶんがすばらしくて、運転士がそのときどきに何をしていて、何を気にしているかがよくわかる。乗客からみて大変そうな停車位置の制御よりも、発車の瞬間がいちばん緊張するなんていうのは、本人でないとわからないし。ところどころにあらわれるベテラン技術者としての苦言も味わいぶかい。

それにしても鉄道運行というのはほんとうにどこまでも時間との闘いであるわけね。

電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)

電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)