「ゲゲゲの女房」(武良布枝)
水木しげるの奥さんの自伝。本人のことよりも夫のことばかり書いてるあたりが人となりをあらわしてる気がする。すさまじい貧乏話もある面しあわせそうにみえてしまう。
「私じゃない人と結婚してたら、どうだったのかなぁ」
以前、富士山の小屋に行ったときに、水木に聞いたことがありました。水木は小首をかしげた後に、空を見上げ、ポツリといいました。
「よかったんじゃないか、おまえで。いつもぼんやりしていて」
「ぼんやり? 私、ぼんやりしてる?」
「とんでもなく、ぼんやりだ」
「そうかなぁ」
「ああ。横を見ると、いつもおまえがぼんやりと立ってたな」
こんなやりとりができるなんて。
- 作者: 武良布枝
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2008/03/07
- メディア: 単行本
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