「超能力番組を10倍楽しむ本」(山本弘)

TV の超能力番組のインチキを指摘する本だけど、と学会系の本を読んでるひとならだいたい似たような話はしってるとおもうので、カバー折り返しにあるように啓蒙本としてつかうのがいいのかな。ビデオ映像とか現地取材を駆使して丁寧に調査されてて、本の質はかなり高いし。

それにしても、オウム後いったんは消えたはずの超能力、オカルト番組が、あいかわらず悪質なまますっかり復活してるのはどういうことなんだろうか。

わたしは、これまで単にオウムの教訓がいかされてないと断罪しておしまいにしてたんだけど、さいきんは、じつはもっと事態は深刻なんじゃないかとおもいはじめた。教訓云々の道義的問題じゃなくて、そもそも番組制作の現場にオームの記憶がないんじゃないかと。事件から10年、オウムを誘発してしまったような失敗の経験が申し送られることなく、現場が代替わりしてしまったじゃないかしら。

もしそうなら、これからもさまざまな犠牲をだした失敗がつぎつぎとリセットされ、なにものこさないまま忘れ去られつづけ、TV はあいかわらずおなじような失敗をつづけることになる。

超能力番組を10倍楽しむ本

超能力番組を10倍楽しむ本