「明治天皇」(笠原英彦)

大帝を中心にすえた政治史というかんじかな。でも、表題になっている大帝と政府の乖離のあたりがいまいちはっきり描き切れていない気がする。

明治憲法下の内閣はだいたいおそろしく短命で、執政責任者が短期間で入れかわることにたいして、帝が連続性を担保するという向きは、内閣制成立当初からあったようにもみえる。やっぱり総理大臣を内閣の「首長」にしなかったのが明治憲法の最大の欠陥だったのでは*1。そういった意味でも大帝が議会開設を時期尚早とかんがえていたというのは興味深い。

あと大帝が宮中祭祀に熱心ではなかったというのは、先帝の役割をかんがえる上で重要かも。

明治天皇―苦悩する「理想的君主」 (中公新書)

明治天皇―苦悩する「理想的君主」 (中公新書)

*1:直接は関係ないけど、維新から憲法成立、国会開設までの官制史のサーベイはぜひやっておきたいところ。