「大正時代」(永沢道雄)

明治大帝の崩御から大正帝がおかくれになるまでのまさに大正時代。

「明治と昭和の中継ぎではない」、「昭和にあるものはすべてあった」というのに納得。筆者の立ち位置に多少偏りが感じられるものの、政治、文化それぞれに目配りがあって、大正という時代のようすが立体的に描かれている。

政治史についていうなら、「家族経営的」明治システムの終焉とあたらしいシステムの模索というとらえ方はおもしろい。やっぱり、山縣有朋西園寺公望原敬後藤新平(この本ではあまりふれられてないけど)あたりは今後の研究課題だわ。

それにしても、治安維持法までつくって左翼テロリズムに警戒していたのに、気がついたら右翼テロリズムに国をのみこまれていたというのは示唆的なのかも。

大正時代―現代を読みとく大正の事件簿

大正時代―現代を読みとく大正の事件簿