「恐るべき旅路」(松浦晋也)

日本でおこなわれた宇宙探査ミッションについてここまで緻密にかかれたレポートって他にはないんじゃないかしら。宇宙開発についてある程度知っていないと読みこなせない記述にはなっているけど、計画にかかわった人々への尊敬の念と、失敗をくりかえさないためにできることを今やろうという、著者の思いは十分伝わるとおもう。

贅沢を云えば、写真をもうちょっと増やしてカラーグラビアにしてほしかったところ(これ以上、本の値段があがるといろいろ大変なんだろうけど)。

「のぞみ」はたまたま踏み抜いた穴が、つぎの穴に続いていて、数珠つなぎでそのまま奈落の底まで続いていたわけだけど、どんなシステムでも穴はそこらじゅうにあいていて、運よく途中の穴でとどまっているだけじゃないのかしら。で、失敗するときはいつだって運悪く最後まで踏み抜いてしまう。

もちろん、いかにその連鎖を防ぐかっていうのがシステムを設計するということだとおもうんだけど。やっぱりむずかしいものね。

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―