[読書記録] 「蘇我氏 ― 古代豪族の興亡」(倉本一宏)

一般には大化の改新でほろびたとおもわれている蘇我氏がそのあともずっとつづいていたということを資料を丁寧にひもときつつ鳥瞰。

奈良時代前半の天皇なんて蘇我系ばっかりなんだからほろびてるわけもなく、蝦夷-入鹿系が退場しただけだし、この時代はまだ直系相続が定着していないこともあわせてかんがえると印象はだいぶちがう。まあ、稲目、馬子ほど強大な立場ではなくなるし、その後も大王家のあれこれにまきこまれて次第に没落していくんだけど。

あと著者は稲目や馬子のころは氏姓制度が成立していないから「大臣」は姓としての「オホオミ」ではなくて(大夫の首席としての)「オホマエツギミ」だとしているんだけど、これって最近では一般的な学説なんだろうか。

蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書)

蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書)