[読書記録] 「京都ぎらい」(井上章一)

京都市出身だけど京都人だと名乗れない「洛外人」の葛藤からはじまる京都論。おなじく京都市内だけど京都とはいえない伏見出身の人間としてすごくよくわからるその感覚。

まあ、さすがにそのネタだけで1冊書き切るのは無理だったのか話はあっちこっちふらふらしつつ、「京都人」をあげつらう話のはずが井上先生のいつもの「東京中央政府」への反発の話になってたりして、それはあれなんだけど、まあそれにしてもこんな京都の、というか「京都」以外の京都に住んでるひとしかわからんような話を全国向けの本としてよう出さはったなあという感じ。

あと、後書きの「七」の読みをめぐる話が出色で、まあ「七条」は「ひちじょう」だし、布団は「ひく」ものだし、その読みを信じてうたがわない我々につきつけられる東京の出版社による非情な校正。地元の人間はみんな「ひち」と発音してるんだし地名ばかりはゆずれないと食い下がる著者にたいする出版社の回答(組版)は如何に。

京都ぎらい (朝日新書)

京都ぎらい (朝日新書)