演出過多

クローズアップ現代」が「はやぶさ」ネタだったのでみてみたんだけど、結果として NHK の報道も信用できないという感じ。以下理由。

まず、都合5回おこなわれた降下実験についてまるで26日のサンプル取得1回だけがおこなわれたように VTR がまとめられていたこと。*1とくに1回目のサンプル取得実験でターゲットマーカを投下して、30分間の着地、離陸があったことなどがまったくふれられていない。

そして、番組の後半はターゲットマーカ製作の苦労話だったのだけれど、前半の「降下は1回だけ」の VTR と組み合わさって、26日の降下でターゲットマーカが重要な機能をはたしたと受け取られかねない説明になっていた。これはあきらかに事実に反していて、26日にはターゲットマーカの放出はおこなわれていないし、そもそも、このときの降下にはターゲットマーカによる誘導自体がおこなわれていない。

限られた時間でわかりやすく説明し、かつ自分たちの主張にそうようにあるていどの演出をおこなうのは、報道であっても当然だとはおもう。でも、今回の番組では、なるだけ事実そのものを伝えようとする態度というか、報道として事実を尊重する態度みたいなものがごっそり抜け落ちていた。事実なんて素材であって、完全なウソにならなければ自由に切り貼りして都合よく並べ替えてかまわない、そんな作り手の態度がもろに出ていた感じ。

プロジェクトX」の「さきがけ」「すいせい」のときも同じようなことがあって、でもあれは「フィクション」だったらしいからいいんだけど(←よくない)、これは「報道番組」のつもりで見てたのにすごくだまされた気分。

今回は事実関係をあるていど知っていたネタだから気づいたけど、たぶん、他のネタもこんな感じなのかしらね。

*1:これはさすがに解説の松浦氏がその場でつっこんでいた。